臓器移植手術をしました。キーボードの。
久々にブログに書くネタができました。
意味わからん壊れ方をしたキーボードを自前で修理した話です。
2018年で一番のネタな気がします。
キーボードが壊れた
自宅ではHHKB Pro2 無刻印 墨 US配列を、外ではMINILA Air 黒軸 US配列を持ち歩いて使っています。
特にこのMINILA Airは学校やバイト先で常に使用しているキーボードで、非常に重要な役目を担っています。
ことのはじまり
ついに自作キーボードに手を出しました。
9月の半ばにパーツを注文し、徐々に手元に届いてきています。
そのうちの一つ、キートップが10日の夕方に届きました。
制作するキーボードはXD75というモデルのもので、75個の格子配列が特徴のキーボードです。
今回はすべてのキーキャップをクリアにしたいという欲があり、AliExpressでそれを満たせる商品を探していたところ、104キーで1000円ちょっと、というものがありました。
通常のキーボード用104キーでは格子配列に使えるキートップが足りないので、2セットで合わせて208キー注文して、個人輸入することにしたのです。
それが昨日、届いたというわけです。
きせかえパーティ
数を確認したところ自作キーボードに優先的にキーを回してもギリギリMINILA Airにも回せるだけ余ることが判明(確認せずに購入していた)。
季節も秋になったことだし衣替えの時期ですのでMINILA Airくんもドレスアップを変更することにしました。
購入したキートップの質が結構よくて、あれこれ着せ替えてああでもないこうでもないしていたのですが、最終的に落ち着いた形に戻そうと一度分解していたときに悲劇が起きました。
意味がわからん(わからん)
えぇ...?
キースイッチの内部がキートップごと引っこ抜けました。 やけに固くて抜けにくいなあと思って思いっきり引っ張ったらこれです。なんで?
CherryMXスイッチはその構造上、内部の軸を外から収めることができない形になっています(というか、抜けたりしないためにそういう形になっているはずなんですが)。
とにかく、抜けてしまったものはしょうがないのでなんとかしなければなりません。
明日もバイト
この時点で日付が変わる少し前ですが翌日もバイトがあるのでキーボードが必要です。
会社で使うPCはMacbookProなのですが、私はMacbookProのキーボードに親を殺されたのでこいつがないと仕事になりません。
急ぎ、なんとかして使えるようにする必要が出てしまいました。
余談
突然の意味不明な自体にパニクってた上に頭が弱いのでこの時点では気づかなかったのですが、私はこのキーを一切使いません。
本来はCtrlがある位置ですが、A左隣りのCAPSロックを殺してCtrlと入れ替えています。
そもそもHHKBにはここにキーは存在しないうえ、手が小さいのでこんな叩きにくい位置にあるこのキーを使うことは確実に無いのです。
つまり慌てて修理する必要もなく、次の日のバイトにはなんの影響も与えなかったはずなのですが、全く気づきませんでした。アホ。
修理開始
CherryMXのスイッチは上半分と下半分を分離することができます。
フタを開けて中身を詰めてから閉め直せば通常通りもとに戻せることがわかっていました。
ただし、フタを保持している4本のツメが表面に見えているプレートの下に埋まっているので分解しなければなりません。
分解
なんだかMINILA Airくんはずいぶんと分解しやすい構造をしている気がします。
ネジは2本だけでツメが7箇所ひっかかって止まっているだけですし、キーボード基盤とマイコンの接続はピンとヘッダを差し込むタイプの接続だったので分解時にケーブルをうっかりちぎってしまう心配もありません。
1つだけ引っかかる点があるとすればネジがトルクス10の特殊ネジなので簡単には開けられないことくらいですが、オタクの部屋には何故か精密ドライバーの10本や20本くらい平気で転がっているので問題なしです。
横着
プレートと基盤の間の隙間にツメが見えます。
4箇所ツメを押し上げつつフタを外せばきれいに開くはずです。
ただ、さすがにキースイッチがハマったままではギリギリマイナスドライバーが届くくらいの隙間しかなく難航していました。
思えばここでおとなしく一度スイッチのハンダを吸い取って分離すべきだったと思うのですが、頭が弱いので強引にグリグリドライバーをねじ込んでみました。
パキッ
最初マジでフタの開いた音かと思ったけど全くそんなことはなかった。
ついに開いたかと思って引っ張ったらキースイッチそのものがグラグラしてて30秒位カワウソみたいな顔になった。
キースイッチの電極が折れた
手前が問題の黒軸、奥側が正常なMX軸です。電極が1ピン足りてないのが解ると思います。
少しくらい残っててくれればなんとかなったものを、根本からポキっと行きました。
もとはといえばどれもこれも全部CAPSロックキーのせいです。なぜ現代では使いもしないのにあんな位置に陣取っているのか。
タイプライター時代はキーが重かったからアッパーケースで固定するためのものだった〜などの話を聞きましたが、知るかバカという感じです。
決して私が横着をしたから作業をミスったわけではありません。決して。
R.I.P. 黒軸
キースイッチは物理回路なので、いくら中身を戻せようが電極が折れてしまった以上もう使い物になりません。天寿を全うしたことにしておきます。
さて、このポジションのキーが死んでしまったのでなにか変わりのスイッチを設置しておかないといけないのですが(別に使わないのでいけなくないことにまだ気づいていない)、あいにく手元にあるスイッチは秋葉原に行ったときに謎のテンションで購入した起爆ボタンみたいな赤い押しボタンだけです。
これでも物理的な仕組みは同じなので動かないことはないのですがなんか芸がないので論外です。
犠牲となったのだ
ここでふと、クラスメートから誕生日プレゼントとして頂いたキースイッチのキーホルダーを思い出しました。カチャカチャ押して遊ぶやつです。
そのスイッチ部分には青軸が使われており、特に専用の加工がしてあるわけでもなくそのままCherryMXスイッチが入ってるだけなのでマジで基盤に実装することができます。
しかし、流石に誕生日プレゼントとして人様に頂いたものを組み込むのはどうなのかだろうか...と悩みましたがスペアのスイッチが無い以上背に腹は変えられず(なくても困らないことにまだ気づいていない)、申し訳ないと思いながらもMINILA Airくんの一部として生きていくことを求めたのです。
なんかアニメとかで「俺はこれからもお前の中で生き続ける」みたいなのあるよね。
臓器移植
ここからは簡単です。
あるべき場所から黒軸が外されてぽっかり開いた穴に青軸をはんだ付けするだけです。
同じCherryMXスイッチなので規格の違いもなくきれいに収まりました。
このあと動作確認も問題なかったのでキーボード本体を組み込み直して完成です。
こうして、左下Ctrlの位置だけ青軸のオリジナルカスタムMINILA Airくんが出来上がったのでした。
罪悪感
さすがの私でも罪悪を感じています。
私が喜ぶだろうと思って選んでくれたプレゼントをこのような形で使ってしまい非常に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
いま考えてみればこんな全く使わない位置のキーにわざわざ組み込まれて(ここでついに別に今治さなくても困らなかったことに気づく)、マジで申し訳ないと思っています。
じゃあEscにするか
組み込み直したあとで考えが変わるのは私の悪い癖ですが、割といつものことなので気にしないことにします。人生ポジティブに行こう。
私はVimに魂を売り渡したEmacsianなので、Escキーは非常に多用します。
せめて、こちらのキーに組み込んだほうが使用頻度も多くせっかくのプレゼントを無為にしないのではないかと考えスワップすることにしました。
また分解して、Escの位置の黒軸と先程組み込んだ青軸のハンダを吸い取り外し、入れ替えてまたはんだ付け。
こうしてインサートモードから抜けるときだけに軽快なタクト音が響くMINILA Airくんが完成したのでした。めでたしめでたし。
おわりに
近いうちにCherryMXの青軸を入手してキーホルダーに埋め込むことにします。
例の黒軸くんは物理スイッチとして機能しなくなっただけで、押して遊ぶ分にはなんの問題もないので今代わりにキーホルダーに収まっています。
クラスメート氏、次の登校日一番で土下座しに行くので許してください...